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一振りで食欲をそそる豊かな香りをもたらす胡椒(こしょう)。おなじみの黒胡椒、白胡椒の他、最近では「ピンクペッパー」と呼ばれる見た目にも華やかな種類も人気です。普段、肉料理を中心に何気なく使っている香辛料の1つですが、かつて人々は命がけで胡椒を手に入れようとしたことをご存知でしょうか。

例えば中世ヨーロッパが聖地を取り戻すために行った十字軍遠征。参加した騎士たちは、イスラム圏で味わった胡椒の香りが忘れられなくなったと言います。また冬の間に肉を長期保存する際の防腐や抗菌といった実用面からも胡椒は欠かせないものでした。しかし東洋でしか摂れなかった香辛料はヨーロッパに渡るまでに多数の商人を経て値段が吊り上がった高級品。こうした背景から、十字軍遠征のもう1つの目的は胡椒をはじめとした香辛料を手に入れることだったとも言われています。

また15世紀から17世紀半ばまで続いた大航海時代も、やはり香辛料を求めた旅という側面があったようです。海路で産地から直接、香辛料を運ぶことができれば間に多くの商人が入ることもないからです。コロンブスはアメリカ大陸を発見した際にインドと誤解しましたが、これはインドが香辛料が豊富な国だと目されていたため。命の危険を冒してまで、当時のヨーロッパの人々は胡椒を求めたのです。

日本でも、奈良時代に大仏に奉献された品々を収めるために作られ、現在も奈良県にある正倉院宝物院に胡椒などの香辛料を見ることができます。ここに収められているのは8世紀の国内の品がほとんどですが、「正倉院はシルクロードの終着点である」という言葉もあるとおり、中国やインド、ギリシャやローマから渡った品々も残されています。その中にあるのが胡椒の一種である畢撥(ひはつ)。これは「熱帯アジアに産するコショウ科植物ヒハツの根と茎で、用途は芳香性健胃薬など」と紹介されています。日本でもはるか昔に海を越えて胡椒が入ってきていたのです。

胡椒をたっぷりと振りかけたステーキやハンバーグを味わう時には、お肉のベストパートナーであるこんな胡椒の歴史にも思いを馳せてみてくださいね。

こしょうにもこんな偉大な物語があったんだね…はくしゅん

[参考]


2013年12月6日更新

お肉関連情報(肉全般)

お肉に欠かせないベストパートナー「胡椒(こしょう)」の話