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「ブタもおだてりゃ木に登る」という言葉、どこかで聞いたことがある人も多いはず。おだてられて、ついつい調子に乗りすぎる人をからかう表現として定着していますが、国語辞典『大辞林』だと「能力の低い者でもおだてて気分よく働かせれば、能力以上に働くことのたとえ」だそうです。揶揄するよりも、やや肯定的なニュアンスになっているのが興味深いですね。

実は、この慣用句が使われ出した歴史は浅く、人気アニメ『ヤッターマン』から生まれた言葉だったのだとか!『ヤッターマン』と言えば、昭和に一世を風靡した、タイムボカンシリーズのアニメですが、平成っ子には、嵐の櫻井くん主演の映画『ヤッターマン』の方が通りがいいかも。

「ブタもおだてりゃ木に登る」という言い回しを作品に取り入れたのは、『ヤッターマン』の制作会社・タツノコプロの笹川ひろし監督。もっとも、完全に笹川監督オリジナルの言葉だったわけではなく、監督の出身地、福島県会津地方ではよく使われていた言葉だったそう。既出の「カレーの肉の境界線はどこ? お肉分布図は“西牛東豚”?」の記事で紹介されているように、福島県も例外ではありません。総務省のデータでは、福島市の豚肉消費量は金額で13位、数量が11位。逆に牛肉は金額で50位、数量が53位と全国に比べて牛肉の消費量が少ない地域なのです。「肉と言えば豚肉!」の県内では、焼肉やすき焼きでも豚肉を用いるのが普通だそうで、ウシよりブタになじみがあったわけです。

しかし、「会津と言えばウシをかたどった郷土玩具『赤べこ』が有名ではないか!」というご指摘が聞こえてきそうです。実はこの赤べこの由来、その昔、福満虚空蔵堂(ふくまんこくぞうどう)建立の際、木材を運ぶ時に、赤毛のウシが最後までよく働いたことから、縁起物のお守りとして作られるようになったもの。当時の会津の人々にとって、ウシは食べるものと言うよりも、貴重な労働力であり、酪農用の乳牛として大切な存在だったそうです。

牛肉、豚肉、それぞれの文化の背景を知った上で食べると、より一層美味しく感じられるかもしれませんね。

みの太もおだてたら木に登っちゃうかも!

[参考]

『ぶたもおだてりゃ木にのぼる』(ワニブックス)笹川ひろし著 


2013年11月27日更新

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「ブタもおだてりゃ木に登る」は豚肉文化に由来する言葉だった!?