「牛肉に決まっとんのや」「うちは豚だったなあ…」。大人から子どもまで大人気、もはや日本人の国民食といっても過言ではないカレーですが、ご家庭で作るカレーの肉は、何肉が使われていたでしょうか? 実は、「西の牛肉、東の豚肉」とよく言われるように、地域によって使われている肉に違いがあるようなのです。

それでは総務省の家計調査をもとに地域別に、牛肉・豚肉購入量を見てみることにしましょう。購入量は、すなわち消費量と言い換えることができると考えます。牛肉購入量を数量で見ると、トップ10が堺市・広島市・奈良市・京都市・大阪市・和歌山市・大津市・神戸市・大分市・佐賀市。一方の豚肉はどうかというと、新潟市・札幌市・青森市・秋田市・盛岡市・浜松市・静岡市・川崎市・さいたま市・横浜市がトップ10。と、見事に東日本・西日本に分かれました。富山県・岐阜県・愛知県からは牛肉が優勢で、東海地方をはさむあたりが境界線と言えそうです。

それにしても、西日本・東日本で牛肉・豚肉に分かれたのは一体なぜなのでしょうか? そもそも食べる肉として定着しだしたのは牛肉の方が先。明治維新を契機に、牛鍋などの牛肉食がはじまりました。東京では洋食文化が普及し、牛肉の代わりに豚肉が使われるようになり、大正時代には現代のわたしたちも大好きなトンカツが誕生。東京を中心にはじまった豚肉文化は、やがて牛肉をしのぐ勢いを見せ、関東近郊の農家では養豚が盛んになっていきました。

しかし、関西では引き続き牛肉優勢でした。日本最古の牛肉屋は、1885年、大阪阿波座の徳松が大阪に開店したと言われています。また、1900年、日本初のステーキ店「弘得社」が出店したのも大阪。関西と言えば、近江牛、松坂牛、神戸ビーフなど、高品質な牛肉の産地として知られています。牛肉の名産地がある関西は、価格の面でも品ぞろえの面でも、相対的に関東より牛肉を入手しやすく、豚肉が席巻することなく、引き続きで牛肉文化が形成されたのかもしれません。あなたは今夜のカレー、ポーク、ビーフ、どちらにしますか?

ぼくは両方入れたいなぁ~

[参考]

『天ぷらにソースをかけますか?―ニッポン食文化の境界線』(新潮社)野瀬 泰申著 
『西の牛肉、東の豚肉―家計簿から見た日本の消費』(日本評論社)金子優子著


2013年11月26日更新

お肉関連情報(肉全般)

カレーの肉の境界線はどこ? お肉分布図は“西牛東豚”?