日本人の肉の消費量は、欧米のそれには遠く及ばない。にもかかわらず、日本にはいい肉が山ほどあります。

カナダ人の著者が「とびきりおいしいステーキに出会うため」だけに、世界中を旅した紀行本『ステーキ! 世界一の牛肉を探す旅』(マーク・シャツカー 著 野口深雪 訳/中央公論新社)。テキサスやフランス、イタリアなど世界中の「ステーキの名所」をめぐる本書の5章に日本が登場します。

そこで著者は「僕が初めて目にした最高の霜降り牛は、少なくとも日本人が見ればたいしたものではなかったのだ」と和牛の奥深さに驚嘆しています。そしてついに向かうのです。あの松阪へと。

降り立った松阪では「路上がステーキハウスの看板だらけなので、なかなか店を決めることができない」という目に遭ったのだとか。もっともこれは誰にとっても起きうることで、松阪のような肉の聖地で飲食店を決めるのは至難のワザなのです。(ゴクリ…)

そして松阪牛にたどりついた著者は「松阪牛のA3肉」に巡りあいます。「甘みも強くて、確実にやわらかい」「松阪のA3は火にかけても縁が丸まらず、グリルにこびり付かない」と驚嘆し、生産者にも会いに行くことに。そこで目の当たりにするのは、丹精込めて松阪牛を育てる生産者の姿。「牛が幸せだと肉がおいしくなる」と信じ、「三年も一緒にいると」「嫌でも親密になる」というほど深い愛情で結ばれていました。

そして著者は「彼らの肉は(中略)創意工夫、絶対的な高水準、偉大な飼育スキルなど、日本の人々を映し出すもの」と松阪牛を位置づけ、「霜降りがオリンピック競技になったら。メダルを独占するのはたぶん日本だ」と結論づけるのです。

日本人にとっての「ごちそう」は、世界中で通用する「ごちそう」だったのです。

ご、ごちそうさま!


2013年11月7日更新

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『ステーキ! 世界一の牛肉を探す旅』でも 世界がゴクリと喉を鳴らす日本の「和牛」